背景と目的

NTT東日本とNTT ArtTechnologyがアルステクネと連携し展開している「Digital×北斎」プロジェクトにて、葛飾北斎が晩年に力を注いだ肉筆画をテーマとした「Digital×北斎【急章その1】」展を開催しました。北斎の肉筆画は、大胆な構図や描写はもとより、多様な題材を描きつつ、異様に細密で計算された構図や意匠、こだわった絵具の選択、繊細な反射や凹凸表現などが用いられています。作品を鑑賞する位置やライティングにより変容して見えることを意識し、様々な技法を取り入れ、応用し発想する革新性が見てとれます。
これまでは作品の保護の観点からそれらを詳細に調査することは困難でしたが、この度、アルステクネが有する特許技術「三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて作品を高精細にデジタル化することで、はじめて明らかにすることが出来ました。
本展覧会は原画を細部まで忠実に再現したマスターレプリカ※1の展示を中心に、動画、パネル などにより北斎の高度な技法や独自の工夫を詳しくご紹介し、北斎の革新性の真髄に迫りました。

※1 マスターレプリカ:アルステクネが有する特許技術「高品位三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて制作された、所蔵元認定の公式複製作品。

展示概要

本展覧会は、大きく二章に分けて構成されています。
第一章では、葛飾北斎の浮世絵版画の代表作「冨嶽三十六景」を中心にその表現の細密性から、浮世絵版画が海外に与えた影響までを紹介しました。
第二章では、新たに高精細デジタル化を行った作品を中心とした肉筆画を展示しました。晩年の北斎が力を注いだ肉筆画の世界を、マスターレプリカの展示を中心に、動画、パネルを交えて紹介し、高精細デジタル化の過程で明らかになった、北斎の高度な技法や独自の工夫を詳細にご覧いただきました。

第一章ビッグバン 冨嶽三十六景

1-1:冨嶽の実像

  • 「冨嶽三十六景」全47図(後摺りを含む) のマスターレプリカを展示。

1-2:冨嶽の中の宇宙

  • 「冨嶽三十六景」の表現の細密性をデジタル技術を駆使した4つの方法で紹介。
    1. 裸眼VR:VRゴーグルを着用することなく、鑑賞者の動作で「神奈川沖浪裏」「東海道品川御殿山ノ不二」を自由に操作し、様々な角度から鑑賞。
    2. 3Dダイブシアター:「神奈川沖浪裏」の世界観を正面、左右、床面への4面マルチプロジェクションにより、強い没入感を感じながら体感。
    3. ルーペ鑑賞:「東海道品川御殿山ノ不二」「東海道金谷ノ不二」「身延川裏不二」の3作品をLEDルーペで詳細まで鑑賞。
    4. ビッグパネル:超高精細データだからこそ可能な、横1600mmまで作品を拡大したパネルにより、絵師、彫師、摺師が三位一体となった表現を細部まで鑑賞。

1-3:世界に広がる革新

  • 「冨嶽三十六景」をはじめとした浮世絵版画が海を渡り、印象派の画家たちに与えた影響について、オルセー美術館所蔵作品のマスターレプリカと、動画、パネルを用いて紹介。

第二章北斎 肉筆画の宇宙

2-1:神妙を描く

  • 岩松院本堂天井絵「鳳凰図」 縮小複製画:岩松院所蔵
  • 岩松院天井絵原図「鳳凰図」:岩松院所蔵
  • フローティング・ギガ・ビューワー®:岩松院天井絵原図「鳳凰図」、岩松院本堂天井絵「鳳凰図」、推定完成復原版の作品データを非接触で自由自在に拡大し、細部まで鑑賞。

2-2:絵具を工夫し、変容する絵を描く

  • 「詠歌美人図」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
  • 「柳下傘持美人」:北斎館所蔵
  • 「白拍子」:北斎館所蔵

2-3:身近な、小さな自然の生命を描く

  • 「肉筆画帖」(全10図):北斎館所蔵

2-4:色と形で絵画に生命を宿す

  • 「花和尚圖」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
  • 「菊図」(右幅、左幅):北斎館所蔵

2-5:北斎と龍 省略の美、墨一色で命を吹き込む

  • 「雲龍図」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
  • 「富士越龍」:北斎館所蔵
  • 拡大パネル:「富士越龍」、「菊図」(右幅、左幅)
  • Digital Alcove:「菊図」「肉筆画帖」の世界観を、くぼみのような空間に投影された動画の多面プロジェクションにより、没入感を感じながら体感。

▼作品リスト
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20230426_01_03.html 

第一章 展示模様
ルーペで鑑賞している様子

第二章 展示模様

第二章 展示模様
Digital Alcove「菊図」
Digital Alcove「肉筆画帖」

開催概要

  • 会期:2023年4月29日(土・祝)~10月1日(日)
  • 会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーE
  • 入場料:一般・大学生 1,000円
  • 主催:東日本電信電話株式会社(現:NTT東日本株式会社)
  • 企画・運営:株式会社NTT ArtTechnology
  • 監修:久保田巌(株式会社アルステクネ 代表取締役社長)
  • 企画協力:市村次夫(北斎館理事長)
  • 協力:株式会社アルステクネ、北斎館、岩松院、山梨県立博物館、公益財団法人似鳥文化財団、株式会社Goolight
  • 展覧会サイト:https://www.ntt-east.co.jp/art/hokusai-kyusyo1/