背景と目的

NTT東日本とNTT ArtTechnologyがアルステクネと連携し展開している「Digital×北斎」プロジェクトにて、「Digital×北斎【破章】」展の実施後、「Digital×北斎」展第3弾のテーマを北斎の晩年と定めました。北斎は晩年、長野県の小布施に計4度足を運んだとされ(諸説あり)、そこで肉筆画を中心とした素晴らしい作品を数多く残しました。その中の代表作品のひとつとも言える岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(通称:八方睨み鳳凰図)は、天井絵という性質から研究機会も限られ、岩松院を訪れなければ鑑賞できない作品であることから、「Digital×北斎」展第3弾に向けた最初の取り組みとして、本作品のデジタル化に取り組みました。 

取り組み内容

岩松院本堂天井絵「鳳凰図」は間口6.3m×奥行5.5m、畳21枚分の巨大な肉筆画です。この「鳳凰図」をデジタル化するため、2019年11月より調査を開始し、2021年3月にアルステクネの特許技術「三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて同社と共同でデジタル化、同年秋に高精細データが完成しました。その過程において「鳳凰図」の制作に用いられた特殊な技法や、ある条件のもとで「鳳凰図」が光ることなど、新たな発見もありました。 
2022年に開催した「Digital×北斎」特別展「大鳳凰図転生物語」では、小布施以外の場所で初めて実物大で「鳳凰図」の展示を行うとともに、デジタル化の過程での発見や考察をパネルや映像で詳しく紹介しました。さらに北斎が計画していた可能性のある、金箔をデータ上で全体に施した「推定完成復原版」を制作し、本堂と同じ大きさの部屋の天井に設置、部屋全体に映像を投影することで「鳳凰図」の中に入り込んだような没入体験を提供しました。 

デジタル化模様

3Dダイブシアター 「大鳳凰図転生物語」

曹洞宗 梅洞山 岩松院 

寺伝によると1472年(文明4年)雁田城主・荻野常倫が開基。不琢玄珪禅師が開山。1812年(文化9年)の火災による本堂の焼失後、1831年(天保2年)に再建された際、髙井鴻山が世話人を務め、本堂大間天井絵の制作を葛飾北斎に依頼しました。安土桃山・江戸前期の武将・福島正則の菩提寺で、境内には霊廟がある他、本堂裏に江戸時代の俳人・小林一茶が「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」という句を詠んだ“蛙合戦の池”があります。 

曹洞宗 梅洞山 岩松院 :https://ganshoin.com/

岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(通称:八方睨み鳳凰図)
岩松院

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